実は、私は日本の高校を卒業してから、海外の大学へ進学した留学生でもあります。
特段英語が得意だったわけではなかったのですが、学びたい学部の大学が海外にしか無いということで、語学留学+海外大学進学を目指して海外(ニュージーランド)に渡りました。
コミュニケーション英語と受験英語は当たり前だけど違う
その経験から英語学習について振り返って見ましたが、端的に言えば「コミュニケーション」のための英語と「受験英語」の勉強は、当たり前だど全然違うということでした。
受験英語は、英語という語学そのものの深い理解が必要になります。伝われば良いというコミュニケーション英語とは一線を画しています。
学びの深度や目的に合わせて勉強方法は変える必要がある。
また、英語学習について言えば、その学習深度・進度によっても、手法は大きく変わってきます。
受験のための英語に手をつけ始めたばかりの段階と、留学を目指してコミュニケーション英語を学ぶ学生とでは、勉強の指向性が大きく変わります。
例えば、単語を覚えることの重要性に大きな差があったり、発音やニュアンスに意識しないといけなかったりと、一概にこれだ、という勉強法を決めることも出来ません。
そういったなかで、今回「英単語」に焦点をあてて、それにまつわる様々な勉強法について考えてみたいと思います。
英単語学習
単語帳に単語を書いて一つ一つ覚えていくのはあまり意味がない
英語勉強の方法論を見ていく中で「単語帳・単語カード」にはあまり意味がないという趣旨のものがあります。私も概ね賛成なのですが、これに関しても、目的や進み具合によってはその意味付けが変わってきたりもします。
例えば、今まで英語が苦手で、全然英語を勉強してこなかったとか、中学で英語勉強を始めたばかりの初学者とか、そういった初歩の学習においては、簡単な単語をたくさん覚えるのは意味があります。
英語に苦手意識がなくなってきたら、単語は読みながら覚える
しかし、すぐに単語カードを使った英単語の記憶はあまり役にたたなくなってきます。
例えば「succeed」という単語を「成功」として覚えると、頻出の「継承」という意味を覚えられなくなります。
また「succeed」という単語を「継承」という小難しい日本語で覚えると、こちらも単語の正しいニュアンスがわからなくなり、実際の英語で理解ができなくなります。
「succeed」は「順調にうまく行った感じ」というニュアンスと、「そういう状況をそのまま引き継いで、続いていく」そんなニュアンス、という風に覚えたほうが良いのです。
正確な対訳とするよりも、一文一文意訳して読んでいくほうが、逆に単語が覚えやすかったりします。
「この単語にこういう意味もあるのか!」という驚きは、その単語を覚えやすくさせる良いきっかけになります。
言葉の意味を1:1で覚えるのではなく、英単語1に対して、日本語では「感覚・ニュアンス」で覚えることが大事なのです。
覚えにくい単語・イディオムというのが必ず出てくる
そうやって少しずつ長文が読めるようになっていくと、どうしても覚えにくい単語やイディオムが出てきます。
これ、私は「相性が悪い言葉」と読んでいるのですが、なぜか、人によっては必ずつっかえる単語だったりイディオムだったりがあります。
こういうときは、前後の文章とセットで、つまり実用例込みで、単語帳や単語カードに書いて「強制的に覚える」ということをしたほうが良いのです。
このときは単語カードや単語帳を使うほうが良かったりします。
同時に聞きながら覚えるのがおすすめ
20年くらい前、留学を控えて特に勉強したのが、正しい発音での英単語学習でした。
当時購入した単語本には付録にCDがついていて、そこでは速いテンポで、ネイティブの方がその単語をひたすら読み上げていくというものでした。
コミュニケーション英語を目指すのであれば、個人的にはこの学習法がヒヤリングにはとても役に立つと思います。
今ならスマホアプリ等でランダムで英単語を読み上げていくれるものもあると思います。
ヒヤリング
思ったのが、英語のヒヤリングがなかなか出来ないのは、知らない単語が多いからで、知らない単語は聞き取ることが出来ません。
また、なんとなく知っている単語は、運が良ければ聞き取れますが、聞き取った瞬間、その単語の意味を日本語に変換して考えようとするので、頭の中で理解がワンテンポ遅れます。
その間に相手の言葉はそのまま流れてしまい聞き取れないということになります。
そのため、ヒヤリングのためには
- 知っている単語を増やす
- 耳で聞いた瞬間意味が浮かぶようにする(その時日本語の対訳を出すのではなく、その言葉の意味がわかれば十分)
(2)は、例えば名詞であれば、その姿が頭の中で思い浮かべれば十分なのです。
hippopotamusと言われて「サイ」という日本語を頭の中で引っ張り出すのではなく、サイのイメージがふわっと浮かべばそれで十分なのです
この訓練を続けると、ヒヤリングが上達します。
そして、そのためには、ネイティブの方の発音と、とにかくたくさんの量の英単語を覚えることが重要になります。
ちなみに、留学の場合、最初からペラペラじゃなくても高校までに習った英語で十分やっていけます。
もともと、言語はコミュニケーションのためのツールでしかありません。
伝えようとするものがあれば、どんな方法をとってでも伝わるように全身で考えます。
英語しか使えない場所にいれば、必然的に重要なものから覚えますし、相手もこちらに合わせて話してくれます。
方法はいっぱい、そのときにあったものを選ぶ
勉強の仕方や方法論は探せばいくらでも出てきます。
しかし、誰にでも当てはまる絶対的な方法というのはありません。
同じ方法でも、それを使う人の学習進度によって、それまで有用だったものが、ある段階から逆に足を引っ張ることすらあります。
重要なのは、今の自分に必要なものがなにかを見極めることと、それに対しての適切な方法を見つけることです。
これ、初めて学習をする子にこれらのことがわかるはずがありません。
予備校や塾は、そういった個人の足りない部分を見極めて、それに対しての適切な方法を与えるところにこそ価値があると思います。
それはなにもマンツーマンである必要はありません。
模試一つでも、何が得意で何が苦手かが分析結果として返ってきます。
そして、基本的には、そういった出来る部分と出来ない部分には「傾向」があります。
その傾向に対しての対策コースなどが用意されていたりします。
ただ、それを本人も理解し、意識して受けるかどうかで、その後の理解度は雲泥の差になります。
受験勉強は、こういった分析と意識こそが、結果に差を生むものだと思います。
様々な学習方法を理解し、目的に合わせて組み合わせていくことが大事だと思います。