「ユーチューバーになりたい」なんて言われても、何を馬鹿なことを、と一蹴してしまうことも多いと思いますが、意外と話を聞いてみると筋が通っていたりすることもあります。
親の立場としては社会経験も積んで、酸いも甘いも噛み分けているからこそ、そんな簡単にできるわけないだろうと思うのですが、実はその、経験を元に導き出した答えが間違っていることも少なくありません。
例えば、10年前にはなかったユーチューバーという職業の是非は、ネットビジネスにあまり絡んで来なかった大人の経験則と、実際に楽しんでいる世代とでは、子供世代の理解の方がその本質に近い可能性もあります。
メンタルモデル
認知心理学に「メンタルモデル」という言葉があります。
簡単に言うと、過去の経験から積み上げられた意思決定の癖のようなものです。
例えば、周りに牡蠣にあたった人が多く、その苦しむ様を近くで見ていた人は、「牡蠣は危険な食べ物」として、出されても好んで食べようとはしないでしょう。
逆に、美味しい牡蠣料理を食べてきた人は、牡蠣を喜んで食べるでしょう。
つまり過去の経験によって、目の前に出された牡蠣に対しての振る舞いが変わるのです。
その振る舞いの元になるのが「メンタルモデル」と言えます。
世代によってメンタルモデルが大きく変わる
会社勤めをしている人は時々直面すると思いますが、例えば、今の時代に即した良い企画案を練り上げたとします。
しかし、一世代上の上司にその企画を見せたところ、全く理解されず見当はずれな理由で却下されたりします。
往々にしてあるのが、それが、ここ10年で大きく環境が変わった市場のものだったりします。
上司世代では常識だったことが、時代の流れによって大きく変わり、今では全く違う対応をしないといけないのに、上司の頭の中で作られたメンタルモデルによって、深く考えもせずに拒否されてしまうのです。
そして、これは、当然ながら親と子の間でも同様のことが起こりえます。
メンタルモデルを再構築しよう
初めに書いたユーチューバーなどは、理解に世代間格差があります。
よくわからない(遊んでいるような)仕事の仕方や、わかりにくい収入の仕組み、突然発生した職業、そういった要素からは、10年前の常識から考えると危険な職業という認識がまっさきに浮かびます。
ただ、よくよく調べてみると、肝にになるのは広告収入であり、いかに人に注目されるかがポイントであるということがわかります。
実はモノを売るときの、いかにその商品情報を欲しい人に届けるかという、基本的な広告の考え方と何ら変わらないのです。
素晴らしい本を書いても、中身を読んでもらわなければ誰も買わない、ユーチューバーも基本は同じです。
そして、その情報を届けるという行為は、今現在においてはスキルとしてもとても重要なものの一つであると言えます。
簡単に言えば、一人で広告代理業をするようなものです。
反射的に拒絶反応が出てしまうようなことを子供が言い出してきたときは、一度メンタルモデルを破壊する良い機会なのかもしれません。
もう一度その中身を大人の知識で深掘りして理解してみることをおすすめします。