ここ最近、大学関連の不祥事が多いように思えます。
SNSでは、日本の国民の質が落ちた、とか、全体の低レベル化、などと言う人もいますが、昔から一定以上の不祥事や問題はあったように思えます。そしてそれは日本に限った話でもありません。
感情のままに、誰かが悪いと断じて終わりにするのではなく、原因や状況、そしてそういった環境に近づかない方法も考えていく必要があるように思いました。
東京医科大が女子の受験生の得点を減らし、入学を制限していたと読売新聞が報じた。
東京医科大 女子受験生減点し合格者数抑制(Yahoo!ニュース)
先日ニュースになったこの件、実はニュースになる前から、知っている人は知っているという状況だったようです。
医学部入試”女子は男子より不利”の裏常識 東京医大の不正がバレた意外な理由 | プレジデントオンライン
息子を不正合格させるため東京医科大学に便宜を図ったとして、受託収賄の疑いで文部科学省の局長が逮捕された事件。こうした不正はほかの大…
息子を不正合格させ、逮捕された文部科学省局長級の話題の時、上記の記事が上がっていました。
医学部においては女子は男子より不利であるという裏常識があったということです。
「学力だけで勝負すれば合格者は過半数が女になってしまう」。筆者は複数の医大幹部からこうした話をたびたび聞いている。一部の医大は性別のバランスを考慮して男子受験生を優遇しているようなのだ。こうした事実はどの大学も公式には認めていないが、医大関係者の間では“常識”となっている。
いろいろ調べていくと、もともと人手のすくない医療業界において、結婚や出産における急な離職が与える影響が非常に大きいということからのもののようです。
しかし、だからと言って、受験において受験者に黙って勝手に点数を操作することは決してあってはいけないことだと思います。
私学なのであれば、営利目的として、性差をもとに合格難易度を操作するなら好きにしたら良いとは思いますが、やるならきちんと公表するべきなのだと思います(そんなことをすれば受験生自体減るとは思いますが)
女子受験生を一律減点するなら初めからちゃんとそういっておいてくれないと。そしたらそんな大学受験しないんですから。受験料無駄。ていうか詐欺。落とした女子受験生に受験料返せって話です。
— 佐藤倫子 (@sato__michiko) August 2, 2018
女子は将来、離職率が高いので男子学生の数を増やしたい、という物凄い理由で東京医大入試で女子の一律減点が行われていたというニュースを聞いて、それだけ優遇されていたにもかかわらず不合格になってしまった男子受験生のプライドはさらに粉々になってしまっただろうことを思うと、思わず涙が……
— 大沢愛 (@ai_oosawa) August 1, 2018
結局のところ、こういった結果も出てきてしまうのではないかと思います。
そうした中、じゃあ、実際に働いている方の視点ではどうなのでしょうか。
卒後10年弱の男性小児科医です。東京医大が女子受験生に対して入試で一律に減点措置を行っていたことについて、医師の立場から少し意見を言わせ…
なかなか興味深い内容でした。
まず前提として、受験要項等での告知なしに特定のポピュレーションに対して減点もしくは加点措置を行うというのは、受験生の立場からすると到底認められるものではないと言うことは確かだと思います。
もちろん、ここは看過できるものではないこと、それは当然かと思います。
「私が医療崩壊のトリガーになる未来」https://anond.hatelabo.jp/20180630150652
という増田を書いた女性医師がおられましたが、どんなに優秀でどんなにがんばって働いている女性医師であっても、結婚・出産ということが絡んでくると、どうしても男性医師と同じキャリアを考える訳にはいかなくなってくるのが現実です。
この増田さんが本文中で書いてある
”医療崩壊はすぐそこまで来ているのだと思います。この危機を救えるのは、働き方改革より何より「医学部の男子学生増員」だと思っています。”
本文中にあるように、問題の本質は間近に迫った「医療崩壊」なのだろうと思います。
今の日本の医療は、現場の人間と家族などその周囲の人間の自己犠牲によって成り立っている部分も多分にあります。
医師が働きやすい環境を作ることと、患者さんにとっては望ましい環境を維持することはほぼ間違いなく両立しません。
今回のニュースに憤りを覚えた皆様におかれましては、医師の働き方改革が進んだ場合に、自分が患者としてどこまでのサービス低下や負担増を許容できるかについて少しでも思いを馳せていただければと思います。
と結ばれています。
今回のニュース、当然ながら許されることではないと思います。
ただ、単純に東京医科大をだけ叩いて鬱憤を晴らして終わりでは、なんの解決にもならないと思います。
そこから考えられる問題、そして自分たちがどうしていくべきなのか、そしてそれを、子供たちにどう伝えていくべきなのか。
改めて見返す必要があるように思います。